エアコンの水漏れ

水漏れ時のチェック項目

  • ドレンホースからの排水不良・・・ドレン側から漏れている場合が対象となる。ドレンホースがつまりドレンパンに水がたまる。
  • 冷媒ガスの漏れ・・・熱交換がうまくできず熱交換器に結露が発生。その結露が水漏れ。圧のチェックが必要だが、冷えた空気が出て入れば除外可能。
  • 結露水の漏れ・・・室外機で交換された冷たい空気が戻ってくるときに暖かい天井等を通った場合に結露が発生し、それが天井からホースを伝って流れてくるケース(ページ下部のようなドレンアップキットを使用しているケース等)や、単にエアコン内の冷たい空気が通っている配管と外気の間で生じる結露水がドレンパンにたまって通常は外に排泄されるが、その量が多くて漏れ出すケースが考えられる。
  • 雨水の漏れ・・・断熱材等の劣化にて雨水が漏れ出したもの

ヒートポンプ

電気ストーブは1の電気が1の暖房効果を生むが、エアコンは1の電気(コンプレッサー等)と圧縮したときに取り込んだ熱5を合わせた6の暖房効果を示す。これをヒートポンプという。

ヒートポンプは、冷媒(フロン等)が圧力をかけると液体となり、圧力を弱めると気体になる時に、熱を発生したり、熱を取り込んだりする性質を利用している。

気体の方がエネルギー順位が高いので、液体→気体になるときには外から熱を奪う=蒸発行程(液体+熱→気体)必要があり、これが気化熱である。逆に気体→液体になるときは外に熱を放出=凝縮行程(気体→液体+熱)する。

状態方程式

例えば水の場合、PV=nRT(ボイルシャルルの法則から導かれる状態方程式)が成り立つとした場合、以下の状態図に示す通り、1気圧の時は0℃で氷になり、100℃で気体となる。圧力(P)を上げれば、温度(T)が一定であれば体積(V)は下がり(気体→液体)、体積が一定であれば、温度が上がるということがここからわかる。

仮にエアコンの冷媒、ここでは代替フロン(R32)が状態方程式に従うとすれば、1気圧の時に沸点が-51.7℃、融点が-136℃なので以下のようになる(あくまで推測)。

冷房・暖房のメカニズムを状態図上で示すと、電源を入れると室外機が動き、そこのコンプレッサーが③→①を行い、①→②で室外機の扇風機で熱を奪われ液体となり、膨張弁で圧力を下げて室内機の熱交換器で熱をもらって気体となる(②→③)

冷房のメカニズム

  • 1、室外機のコンプレッサーで低温低圧の冷媒(気体)を高温高圧の冷媒(気体)にする(約80℃)。
  • 2、高温高圧の冷媒(気体)を室外機のコンデンサーに流し、外から冷風(冷風と言っても夏なので40度とかの風)を当てて、冷媒(気体)を約50度まで冷やし、低(中)温高圧の冷媒(液体)とする。この気体→液体の変化の際に外気に熱を放出する。
  • 3、低(中)温高圧の冷媒(液体)を一旦レシーバーに保存した後、室外機の膨張弁で圧力を一気に低下させ、-5~5℃の低温低圧の冷媒(液体)に変えて噴霧し、室内機のエバポレーターに送る。
  • 4、低温低圧の冷媒(液体)は、室内機のエバポレーターで部屋内から取り込まれた外気(部屋の熱い空気)から熱を奪い、低温低圧の冷媒(気体)となる。液体+熱→気体で外気を気化熱として取り込んで冷やす。この際冷やされた空気が水滴となってドレンパンに落ちる。
  • 5、低温低圧の冷媒(気体)は、室内機から四方弁を介して室外機のコンプレッサーに戻されて1~を繰り返す。

R32は圧力が高ければ、50℃で液体、圧力が低ければ5℃前後で気体になるらしい。

膨張弁で圧力を下げて5℃以下にしても配管の体積が一定であれば、外気から熱を取り込まない限り液体→気体にはならないが、膨張弁が室外機側にあると室内機まで移動する銅管で周りの外気の熱を奪って一部が気体になってしまい、冷却効率が低下するので、最近のエアコンは膨張弁は室内機側にあるのかなと推測。

暖房のメカニズム

  • 1、室外機のコンプレッサーで低温低圧の冷媒(気体)を高温高圧の冷媒(気体)にする(約80℃)。
  • 2、高温高圧の冷媒(気体)は四方弁を介して冷房とは逆向きに室内機のエバポレーターへ移動し、部屋の冷たい空気で冷やされ(外気に熱を奪われ=凝縮)、約50℃の低(中)温高圧の冷媒(液体)となる。エバポレーターに接触し、気体→液体になるときに外に熱を放出する(温風)。
  • 3、低(中)温高圧の冷媒(液体)は室外機へ移動し、室外機の膨張弁で圧力を一気に低下させ、-5~5℃の低温低圧の冷媒(液体)に変えて噴霧し、コンデンサーに送る。
  • 4、コンデンサーで、ファンにより送られる外気にさらされ、外気(冬の寒い外の空気)から熱を奪い、低温低圧の冷媒(気体)となる。冷媒よりは暖かい外気にさらされて熱を奪われ、液体→気体となる。

外気が-20℃とか寒すぎる極寒地では冷媒の温度の方が高く、たとえ頑張って室外機の表面積を大きくして頑張って熱を奪おうとしても熱を奪えないのでエアコンとしては機能しない=極寒地ではエアコンではなく石油ストーブ等を使用する。

コンバータとインバータ

インバータのエアコンという言葉を聞いたことがあると思う。その説明が以下。

  • コンバータ装置は交流を直流に、インバータ装置は直流を交流に変えられる装置。
  • コンバータは電源からの交流電流を一方通行しか通さないダイオードで波の下半分(マイナス側)を切り落とし、脈流に変換する(整流)。これをコンデンサで整形し直流を作る。作られた直流電流はインバータ回路(スイッチのONOFF切り替えにより負荷に流れる電流の方向を変える)にて周波数や電圧をいじられながら交流に戻される。
  • インバータがなければコンプレッサーを動かすモーターの回転速度(周波数)をいじれないので、設定温度まで下がったら一旦電源を切らなければさらに冷えてしまうので、電源のONOFFを何度も行わなくてならず電気効率が悪くなる。
  • インバータによりモーターの回転速度を自由に設定できれば、設定温度まで行っても電源を完全にOFFにせずに低回転にして温度を調節できるようになり、結果として電気効率が良くなる。
  • インバータは太陽光発電の直流を交流に変えるのにも使われる。パワーコンディショナーはインバータと同じ意味。
(図:EDNのサイトより転載)

その他エアコンに関する疑問

  • エアコンは暖かい空気が上へ行こうとするので、暖房時は下向きに、冷房時は上向きにするのが基本
  • いわゆる水滴は、冷媒が充填されている銅管の外の空気が冷やされる(冷媒の温度<外気の温度の時)ことで、空気中の水分(水蒸気)が水になるために生じる。つまり、銅管内の冷媒が0℃で外の空気が30℃なら銅管に水滴が生じる(冷房の時の室内機内)。銅管内の冷媒が0℃で外の空気が5℃でも温度差があまりないので少ないものの機序的には水滴が生じる(暖房時の室外機内)
  • 除湿の機序は、冷房による除湿と同じなので、除湿=弱冷房ともいえる。
  • コンプレッサーは気体しか扱えない
  • 室内機にもファンは回っている。室内機のファンは2枚や3枚刃の扇風機ではなく、ローラー型の扇風機。
  • 室外機の電気は、室内機のコンセントから。2本の配管とともにテープでぐるぐる巻きにされて室外機の制御基板へと接続されて、コンプレッサーやファンを動かす。室内のコンセントの接地側(白線)は室外機に直接つながり、非接地側(黒線)は室内機の制御基板で黒線と赤線に別れ、室内機のファンへの電源供給後、室外機へ2本ともつながっていた。(VVFケーブルの3線で)
  • 冷媒としてはオゾン層破壊及び温室効果作用のある特定フロン(CFC、HCFC)、その後代替えとしてオゾン層破壊作用がないが温室効果作用は残る代替フロン(HFC)、さらにその後温室効果作用もほとんどない自然冷媒(HC)等が出てきている。
    代替フロン(HFC)にはR410Aと、それよりは温室効果作用の小さい(GWP値がR410Aの1/3)微熱性冷媒ガスR32(ジフルオロメタン)がある。2029年位まではR32が使用され続けるらしい。
    冷媒の種類は室外機の横に記載してある。
  • 四方弁は室内機の以下の位置
  • 二方弁と三方弁

ドレンアップキット付エアコンの分解

通常は家でエアコンを設置するであろう場所にはコンセントも備え付けられており、室外機を出してもいいようにベランダがあったりと、家を作る際に予め環境が整えてある。

こうした環境でないとき、もしくは予め決められたところではない場所にエアコンを設置したいときには、コンセントの増設のみならず、エアコンからの配管を天井ふところを伝って外に出すこともある。そうしたエアコンは以下の画像のようなものとなる。

画像では、右側が溶媒配管とVVFケーブル、左側がドレンアップキット(K-KDU572DV)となっている。

溶媒配管とVVFケーブルともに天井ふところを経由しており、行き帰り2本の冷媒配管は外の室外機へ、VVFケーブルはおそらく壁の中で、動力電源ケーブルと室外機の電源ケーブルに中継されていると思われる。冷媒配管とエアコンのジョイント付近は結露防止のため断熱材を多めに巻いてる。

ドレンアップキットはドレン水を強制的に1mほど上にくみ上げるポンプで、電源はエアコンと別回線同回線(漏電遮断機がエアコンとキット共通だったので)で動力電源から引かれているものと思われる。そもそもこの商品がセット商品だったようだ。

実はこの店舗は2台がドレンアップキットを使用しているエアコンであり、2台でたまったドレン水は途中で合流して、共通の配管(↓写真)を通って、片方の室外機の横から排出されている。

ここまでわかった上で、エアコンとドレンアップキットの電源を落とす方法。

この建物には、電灯主幹(単相)と動力主幹(三相)の2つの大元の遮断機が外にある。ドライバーでは開けられないので盤用マルチキーを使用する。

左の電灯主幹を落とすと室内の分電盤の遮断機を落としたのと同じように落ち、右側の動力主幹を落とすとエアコンが落ちる。

続いて室内には、普通の分電盤もあるが、それは単相100Vっぽいので無視し、三相200Vの方の分電盤が以下。単相は2線100Vのみにして200Vは高率のいい三相からにしたのか。

見てみると、大元が上に1つ、分岐した遮断機が下に並び、左上が休憩室エアコン、右上が調剤室エアコン、左下と右下が待合室エアコンの遮断機になっている。

エアコン(Panasonic CS-j224c)の分解

分解方法は下記動画で詳しく紹介してくれている。

見ながらメンテしたのが下記動画。

ドレンホースをドレンパンから引き抜いてからはめ込めないか心配したが、普通にはめ込むことはできた。

エアコン(富士通ノクリア AS-G636KS2)の分解

いろいろ失敗しすぎて途中で断念。ノクリアのGシリーズ。20畳用の200V。冷媒はR32。

お掃除機能の配線がタイラップで固定されているうえに左端まで移動していて、これを外さないとお掃除ユニットを外せない。

左端の部品がねじ外しても取れず。ここが1つの断念。

続いてVVFとアース線のパネル。これもケーブルとか抜くのがめんどくて断念。

VVF 3C 2.0㎜の引き抜きがとにかく固い。上の白い長細い部分を少しオスと少しだけへこむのでその時に線を引き抜くが、手だと固くてつらいのでペンチとかを使う(なるべく滑り止めがついたニッパーやペンチを使う!!)が、被覆を傷つけてしまいがち。それが怖くて心線をつかんで引き抜こうとしてら心線に傷・・・これは電気工事士の試験では一発で不合格の事例。

VVFを変えようと思ったが、これを変えるとなると外のぐるぐる巻きの粘着テープをはがしてとかやらないとなので一旦はこのまま突き進む。電流は流れてるけど接地側だからという理由。不具合があったら該当部位を切断してから差し込みコネクタで白線だけつなげるのがいいかな・・・。

あと基盤カバーがねじで止まっていると思わず、ボルトの上部分でおっかいてしまったのもミスの1つ。

エアコンその他メモ

ダイキンが最も熱交換効率がいい?その分室外機とかかなり大きい。うるさらは重すぎて施工大変。換気を同時にできたり、保湿を同時にできたりするのがメリット。加湿機能で電力を900Wとか使う上に、分解やメンテナンスを行える業者が限定されるのでコストが高い。吸排で汚れやすいので年1回は分解洗浄必須。

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